mostin fantasy – If we disappear, nobody will notice (AVYSS × Gay Vegan Vinyl Cassette)


mostin fantasy – If we disappear, nobody will notice (ode to CUZ ME PAIN)

AVYSSにて、当GVVCとのコラボ企画が公開されています。
先日、下北沢で開催されたサーキット・イベントのAVYSS Circle(チケット完売)にもDJ出演していた1999年生まれmostin fantasyによるミックスで、今回このアートワークを私が制作しました。

CUZ ME PAIN周辺の音源をメインに据えながら、当時〜近年、果ては数ヶ月前リリースの楽曲までを交えて10年代初頭の音楽ブロゴスフィア全盛期のムードを再解釈したような内容です。

面白いのが、「当時のシーンに対する憧憬」とあるように彼はリアルタイムで体験しておらず完全に後追いでこの周辺を掘り進めた結果、斯様なアウトプットになっているという点。
当事者ではないZ世代の若者のレンズ越しに独自のイメージが付加され、アップデートされたバランスで提示されていて、懐古的なニュアンスの無いものになっています。

それは、あの頃に世界でなんとなく共有していた不文律や美意識が、未来の若者に「再発見」されうるムーヴメントとしての熱量・質量を確かに有していたということの証左。
また、局所的には日本勢もその一翼を担っていた瞬間があったことと、その熱を共有したシーンが国内に存在していたことも、ある種のアクセシビリティとして働き、このミックスを生んだのでしょう。

デジタルネイティヴの電脳デバイス音楽(もはやデスクトップですらない)やフェミニスト・コレクティヴのリーダーによる講演なども配置されながら、当時を知る者にも自然に感じられるようなパッケージは、セルフライナーノーツにもあるように巡礼の起点としての機能も。

こうやって再考証とアップデートが定期的に行われ、ミクロな再燃と延焼を繰り返し促す事で、文化のいち様式としてより成熟していくことができるというものかしら。

おそらく彼も読んだであろう、こちらの記事も参照されたし。
2010年代初期の日本のインディシーン、その前夜|Teen Runnings × Super VHS × Elen Never Sleeps