Taquwami – 31 (PLANCHA)

当HPでもリアルタイムで紹介していましたが、昨年Secret Songs経由で発表された
Taquwamiの31日31曲企画アルバムが、その名も『31』として
この度PLANCHAさんから2CD化されてのフィジカルリリースが発表されました。

正式な発売日は現時点(2/28)ではまだ未定(TBA)となっていますが、
リリースパーティが開催されるようで、その会場で先行販売されるとの事です。

ここ数年、年に1,2回は行っていたライブも昨年(2018)は音沙汰なく、
その中で突如発表されたこの『31』は、Ryan Hemsworth主宰レーベルからの
デジタルリリースという形態で、フィジカルでのリリースは未だありませんでした。

収録曲は近年行っていたライブで既に披露されていた楽曲が多く収められていて、
5年以上前、”Time After Time“などでブロゴスフィアを騒がせていた頃と比べると
ラウンジ〜環境音楽的な趣が強くなっており、相変わらずの音自体の作り込みによる
強度、説得力が凄まじく、鉄器や陶器の職人が錬成しているようなサウンドなんです。
実に知性を感じさせる音楽。しかしながらIDMというにはあまりにも有機的で、
自然、つまり海とか山とか、動植物ですよね。そういったものとの親和性が高いし、
尖りを内包しながらも押し付けがましくなく、空間に寄り添う現代美術的でもある。

そしてみなさん、このタクワミという男は音だけじゃない、歌心があるんです。
“海”のブレイクにおける口笛のような音色のフレーズや”Wade”のメインテーマなどは、
もはやほとんど歌っているようなもので、このあたりのセンチメンタリズムも彼の真骨頂。

ビートメイカーと称されることも多い彼ですが、少し聴き込めばその実際のルーツは
ロック・ポップスであり、かつては歌のある音楽を作っていたな、と想像できますよね。
そういう意味では、広義でのエレクトロニック音楽やゲーム音楽などを原体験とし、
そこから昇華しているビートメイカー・電子音楽家達とは一線を画していて、異質です。
(どっちがいい、とかいう話ではないですよ)

もう一つ、タクワミの音楽の特徴として、敢えて紹介したい点としてはですね、
彼はどんな楽曲にも基本的に”面白い音”を入れてくるというところです。
随所に仕込まれたSEのような、ファニーなワンショットや、人を食ったようなサウンドが、
全体的に高すぎるクオリティに対しての絶妙な”ヌケ”として機能しているんですね。

その他、トラックに連続性があるので、通しで聴くのが音楽体験としては
いいアルバムだと思いますが、敢えてトラックごとの個人的なオススメとしては

2ステップなのにキックは4つ打ちという奇跡の構造に前述の歌心が爆発するM-10″Wade”

竹取物語&浦島太郎に違いないM-7″Moon Light, Bamboo”,M-8″White Smoke, Turtle”

もはや日本のオウテカと呼びたくなるアクアリウムIDM的なM-14″Long Kigo IV”

十数年前のIRMA recordsとかボッサ・ハウス的な安直オシャレのウワモノに
現代的な太いベースビートとトリル風ハイハットのグルーヴが超謎感を醸し出すM-18″空”

アナログシンセにより生成されたアタック感のみで紡いだリズムがクールなM-23″Unjyo”

あたりでしょうか。

あくまでも長年切望されている書き下ろしフルレングスのオリジナル1stアルバムでは
ないのですが、フィジカル媒体で発売されるタクワミ単体でのパッケージLP作品は初です。
PLANCHAさんが遂に国内アーティストをリリース、というよりかは、Secret Songsから
逆輸入という形なので、現在AVYSS Magazineが絶好調の佐久間さん(ex. Jesse Ruins)が
散々海外からリリースしている自身のプロジェクトCVNHostess Entertainmentからも
日本盤CDをリリースしているのとある意味では同じような形態ということになりますかね。

尚そのAVYSS Magazineで、丁度タクワミの貴重なロングインタビューも公開されてます。
圧倒的バックボーンのある人が訊くと引き出しが違ってくるので、こちらも必読ですよ。
ここでミルトンナシメントの事を言ってるのが正直メチャクチャ納得で、
“街角クラブ”的な神々しさも確かにあるね。ちなみに最後の方で
私とGVVCの名前もわざわざ挙げてもらっちょります、タクワミくんどもっす!

UKロック、レディオヘッド、ビートルズにオウテカとemo、女性Voの90’s高品質J-POP
そして00年代下北沢ポストロックなどを経て10年代の音楽ブログ文化を駆け抜け、
今の景色は水族館と庭園が併設された海沿いの現代美術館となった日本屈指の音楽家
Taquwamiの超重要リリース、タワレコ等でお見かけの際は皆様是非お手にとって頂きたい。

先行販売となるリリースパーティは3/21(木・祝)に渋谷CIRCUSです。
こちらはblog never sleeps時代からの皆様も含め、全員集合でお願いします!

Taquwami “31” Release Party

日程:3/21(木・祝日)
会場:CIRCUS Tokyo
時間:OPEN 18:30 / START 19:00
料金:ADV ¥2,900 / DOOR ¥3,400(別途1ドリンク代)

PLANCHAさんでメールフォームから予約できます

Taquwami “31”

Label: PLANCHA / Secret Songs
Cat#: ARTPL-114
Format: 2CD(初回プレス限定盤)

※ボーナス・トラック2曲収録予定
※日本のみでCD化

Release Date: TBA ※2019/3/21レコ発にて先行発売
Price(CD): 2,300yen + 税

ちなみにね、私もTaquwamiと一曲コラボしとんのよね。めっちゃ前やけども。

これね。併せてヨロシク!