GVVC Weekly – Week 136

LUMP – Animal (Official Video)

ローラ・マーリングがTunngの片割れマイク・リンゼイと始めたデュオユニット、ランプが
新作フルレングスのリリースを告知、そちらから最初の先行曲ビデオです。前作はアルバム
と言っていいのか微妙な7曲でしたが今回は10トラックの正真正銘LPで、当初ワンオフの
企画モノっぽさが強かった割にちゃんと続いてる。確かに意外性もあるし、サウンド的に
かなりいい組み合わせだなとは思う。基本はタンにローラが参加しているって感じの音楽で
フォークトロニカという言葉が似合うトラック。ただ今回の先行曲は少しエレクトロポップ
強めのニューエキセントリックな方向性もあって、Jenny Hvalとかのフィーリングに近い。
ローラのボーカルがちょっと本格的すぎるというか、この手の音楽には勿体無いというか、
若干浮いてる気もするけど彼女自身の音楽とあまりにも趣が違うから新鮮だし、こんなの
聴かしてくれてありがとうマイクさんって気持ちはあります。他の楽曲にも期待できそうね。


Moon-Drenched – Psychic Liberation

Oh Seesのジョンが新しく始めた大所帯バンド、ムーン・ドレンチトのデビュー作LPから、
これで2つ目となる先行トラックです。TV on the Radioのキップ、他Flying Lostusなどに
参加するパーカッショニストやボニプリ、Ty Segallのバックキーボーディスト等々かなり
いぶし銀のメンバーを揃えてサイケ・ジャズを軸としたインプロ・アヴァンアンサンブルで
相当かっこいい。アブストラクト過ぎず、脱臼ダンスにも聴こえる明確なグルーヴはキープ
されてまして、これ菊地成孔がやってたDCPRGっぽさがあるね。サグいSun Arawだとも。


José González – Visions (Official Music Video)

2月に実に6年ぶりとなる新曲をリリースしていたホセ・ゴンザレスですが、遂にアルバムの
ディテール込みで次なる先行曲が公開されました。あたたかみのある穏やかな音響フォーク
トラックですがポリゴンショック喰らいそうなチカチカ空撮の高速カットですので映像には
注意です。曲のタイム感とビデオが恐ろしく合ってねーぞ…。LPは9月とのことで先ですね。
ルーファス・ウェインライトとツアー回るらしく、めちゃくちゃいい組み合わせだなと思う。


Evann McIntosh – NOBODY ELSE (Official Video)

USのZ世代インディR&Bシンガー、エヴァン・マッキントッシュが2ndアルバムをリリース、
先行トラックのビデオ公開です。デビュー作に引き続きMom + Popからのリリースとなり、
相変わらず小気味のいいソフトかつエアリーで軽妙な語り口のストリートR&Bポップですが
ゴチャゴチャしてないしオートチューン系の色付けが一切無くて割とオールドスクールだし、
すごく聴きやすくていい。昨年のシングルをGVVC年間ベストトラック30に入れたんだけど
それは入ってないみたいね…あれ入ってたら買ったのに。でもこの路線なら期待が持てそう。

The Lagniappe Sessions :: Real Estate

Aquarium Drunkardのエクスクルーシヴ企画、Lagniappe SessionsにReal Estateが登場、
メンバーそれぞれが選んだカバー楽曲のスタジオセッションテイクを公開してますが、特に
マイブラのIsn’t Anything収録曲、You Never Shouldのカバーが中々にいい感じですかね。
リアルエステイトのアンサンブルのカラー、音色とマイブラのテイストの妙がちょっと他に
ないような雰囲気を醸し出してまして、本来全然シューゲイズじゃないバンドやると面白い。
ちなみに音源はアクアリム・ドランカードの自前のサーバに直UPされてまして、Youtubeや
他のプラットフォーム上での展開はないです。個人的に、できることなら世の中この方向に
進むべきだと思うので、もっと増えたらいいのにと思う。利便性をエサに余りに増えすぎた
手数料ビジネス、プラットフォームビジネスを壊滅させてオウンドメディアの世界を再生っ。

今週のLP/EPフルリリース

India Jordan – Watch Out! (EP)

前作EPが各所で絶賛されてたから一応チェックはしてた。この人はハイパーポップだとか、
ミュータント・ビートメイカー系の文脈とは違ってもっとクラシックな趣してて90年代UK
クラブミュージックをリスペクトフルに節度を保って端正にアップデートしてる感じがする。
だから自分でも聴けるというか許せるものになってるんだよな、良い意味でクレイジーじゃ
なくマトモ。今作はなんかUKガレージやジャングルとかの香りが強いアンダーグラウンド
レイヴっつうかワープハウスっつうか、所謂5鍵の『ビートマニア』にありそうなサウンド。
でもクオリティがすごく高くて、編曲もスマートなところが冗談音楽になってなくてイイし、
Ninja Tuneらしい。前のEPと並べてみても面白く、これはちょっとフルアルバム聴きたい。
ハッピーハードコアっぽさ確かにあるけど、妙に上品な仕上がりな部分を死守して欲しいな。


Wy – Marriage (LP)

すごく素朴というか質素ってレベルかもしれないけども、贔屓のRama Lamaリリースかつ
最初の先行曲M-1が凄く良くて、あたたかいインディポップだったもんでフルを期待してた。
ちょっと調子外れ気味の歌唱と穏やかでミニマル、コンパクトな編曲が特徴だけども決して
内省的ではなくて陽の光とエモーションも感じる。ネオアコ的にはなってないのもポイント。
まあ、デュオだけでやってそうなこじんまり感が強いからこれフルバンドで開放的になれば
もっともっと良くなりそうだけどね。ショボさがプラスに作用してるパターンもあるけども、
この人たちは特にそうじゃないし、宅録打ち込みリズムマシンっぽさが明確に弱点というか
マイナスポイントになってるから、リッチなサウンドの方が俄然、魅力が引き立つと思うよ。
薄く入るレイヤーのシンセシークエンスとか出汁だけで味付けしたみたいなペールトーンの
サウンドイメージはすごく良いバランスだから単純にドラム生に差し替えるだけでも違う筈。
ちなみにレーベルに確認とりましたが、バンド名の読みは『ワイ』でいいみたいよ。芝犬…。


Carlos Niño & Friends – More Energy Fields, Current (LP)

LEAVING RECもリリースしてましたが、今回シカゴのインプロ・ジャズ系のレーベルから。
Dntelや今年11月に来日予定のSam Gendel始めLAの著名ミュージシャンが大集結で参加し、
ニューエイジでは片付けられないモダン・フリージャズ・アヴァン・アンビエントといった
趣の微コズミックなアンサンブルは所々もはやガスター・デル・ソル的ですらあり基本的に
Music From Memory諸作品に近いフィーリングとはいえ、ちょっと異質なのにも関わらず
間口が広くて聴き易い、お洒落BGMとしてすら機能するというスーパーミュージックです。
もう出音からして貫禄がある、これは多分そうそう無いレベルで高次元。ぜひヴァイナルで!
しかし、仕方ないけどクラシックも真っ青な位にクレジットがゴチャゴチャして面倒臭すぎ。