GVVC Weekly – Week 137

The Goon Sax – In The Stone (Official Music Video)

オージーバンド、ザ・グーン・サックスがなんとマタドールへ移籍して新作アルバムを発表、
LPオープナーにして最初の先行トラックをビデオ公開です。前作も素晴らしかったし納得の
ステップアップ。late80’sのバンドのリマスター音源って言われても信じそうな本物っぽさ、
ポストパンクとニューウェイブ(シンセのないやつ)をあくまで脱力気味にポップに昇華し
マイルドに纏め上げたインディロックだけど、最大のポイントはボーカルかな。男の子の方
メインだけど、頻繁にツインをとる女子メンバーのボーカルがかなり甘くて、この二人の声
相性がいいのか、重なってる時の馴染み具合が異常にしっくりくるんだよね。今まであった
良さを全てそのまま何も加えず正当進化ブラッシュアップしたサウンドでこれは期待大かな。
一人の主要メンバーありき、楽曲ありきって感じではなく純粋にいいバンドって感じがして
凄く好印象。まだ若いんだろうに貫録あるし才能と巡り合わせと出会いが結実してていい。


Wallice – Off the Rails – Official Music Video

LAのウォリスが来月リリースするデビューEPより、タイトルトラックとなる3つ目の先行曲。
今までに出てた曲も割と悪くなくて拾うかギリギリのところだったんですが、今回方向性が
より明確に見えたのでピックアップ。このコード進行ちょっとアレだけど、キャラクターも
込みで上手いことハマってると思うし、ガールポップの影がちらつく西海岸ガーレジ気味の
インディロックということで2ndくらいまでのDum Dum Girlsとかをマイルドにしたような
音像、かなり間口が広くコンサバな現場でも機能する音楽になってるんじゃないでしょうか。
映像マジで突っ込んでいいか微妙ですがフロッピーディスクでこんな高度なゲームできんよ。


Herbert – The Way feat. Y’akoto

マシュー・ハーバートが新作アルバムのリリースを発表し、最初の先行トラックを公開です。
どうやら久々のドメスティック・ハウスシリーズとなるらしいので、最も彼に求めるものが
展開される可能性が高く、ほぼ全てボーカルトラックなので期待が大きい。顔ぶれを見るに
ダニ・シシリアーノは参加していないのがちょっと残念ですが、相変わらず一音一音がもう
この世の物とは思えないほどの説得力を持ったナイト・ダウンテンポ・ジャジーハウス楽曲。
空間の取り方などは今年20周年の歴史的名盤ボディリー・ファンクションのムードに非常に
近く、Around The Houseと共にオリジナル盤以来初となるアナログ再発も控えています。


Bored at My Grandmas House – China Doll (Demo)

リーズのソロバンド、ボアード・アット・マイ・グランマズ・ハウスがデビュー作EPに続き
フォローアップとなる新曲のデモバージョンを公開。プロダクションはいかにもデモってな
感じですが、特色と魅力は存分に発揮された楽曲になっており、既発曲よりもドリーム成分
やや少なめでアコースティック寄りな響きにはなっているものの可憐で淡く儚いイメージと
独りハモりが炸裂しています。ちなみに本人のリアルパパがバイオリンで参加しているよう。
キャラクターも立ってるし名前もいいし割と普通の歌もの範疇で、Snail Mailコースというか
遠くないうちに半メジャーというか大手インディに拾われてハイプ化するイメージしかない。


Veps – Girl on TV (Official Video)

中学生の時に結成したオスロの現役高校生バンド、ヴェップスがKanineからリリース予定の
デビューEPよりオープナーのトラックをビデオで公開です。いやー初々しいけどこれは凄く
いい曲だね。音楽性的にはもう本当に何も語るところのないシンプルな、弾き語りの楽曲を
バンド編成でそのままやっているだけという代物だけど、ボーカルの子がかなり歌心あって
言葉がダイレクトに伝わってくる。しかも最終的には自分は『なりたい』って白状してるの
なんかいいなと思ったよね。ぜひその歌心を大切になさって下さい。(なんでも鑑定団風)


Jeff Parker and The New Breed (feat. Ruby Parker) – Soul Love

昨年のソロアルバムも素晴らしかったTortoiseのジェフ・パーカーが自身のバンドを従えて
参加したボウイのトリビュートアルバムに収録されるトラックを公開、ボーカルには実娘の
ルビィを据えてます。これまた素晴らしいテイクで、彼のソロ作で見られる軽妙なドラムの
サウンドがこれでもかと炸裂しています。楽曲もアレンジもロックなんだけどドラムの鳴り
だけがジャズ過ぎて、そしてボーカルはソウルっぽいんで謎なコンテンポラリー・ブラコン
音像のコズミック・アンサンブルが展開され原曲と比べると随分スッキリとモダンな印象。
作品には以前紹介したヘラド・ネグロによるカバーの他にKING、クルアンビンなども参加。

今週のLP/EPフルリリース

Frøkedal & Family – Flora (LP)

うん、すごく北欧の田舎SSWっぽいよね。なんだけど、安易に幽玄やナチュラル一辺倒の
イメージではなく程々にオルタナロックだったりサイケっぽさが入ってくるその塩梅が実に
ちょうどいいバランス。楽曲毎にスパっと変えてくるタイプで、かなり全体の振り幅が広い。
まあ最近の近いところではフェン・リリーあたりがノルウェイの森で生まれたらって感じで、
元々フルバンドいくつかに在籍してたらしく、本人の音楽的バックボーンが一人でボソボソ
ひたすら弾き語りってなタイプでは全くないっぽいのが今のサウンドに非常に顕れててイイ。
今回から名義に& Familyが入ったみたいで、割とバンドアンサンブルも強靭なのが聴けるし
アレンジも滋味がありつつオトナ。地元のレーベルからのリリースなのも含め堅実な作品ね。
シックだし、かなりの渋目しか聴かない年配の方なんかでもイケるかもと感じる何かがある。