GVVC Weekly – Week 233

Lifeguard – 17-18 Lovesong

シカゴのライフガードがMatadorとの契約を発表し、地元のレーベルから昨年リリースしていたEPと、新曲・未発表曲で構成されたコンピ盤をアナウンス。とはいえ全てあのElectrical Audioスタジオで同じエンジニアで録音されており、実質的に一枚のアルバムのように聴けるみたいです。
昨年作EPはもっと直線的な面が強く、オルタナパンク・ノイズロックという雰囲気でマタドールが似合うなということろですが今回の新曲はもっとねじれをプラスしてFugaziとか、USのちゃんとしたポストハードコアっぽさがハッキリありながらも昨今の流行のポストパンクの軽さと相応にヤングな爆発力が同居していて、好みとか以前に一聴してめちゃくちゃ良いバンドだと分かる佇まい。末恐ろしいですね。


Speakers Corner Quartet – Geronimo Blues (feat. Kae Tempest)

ロンドンのスピーカーズ・コーナー・カルテットが来月リリースするデビューアルバムから四つ目の先行曲ビデオ。
全ての楽曲で著名な客演の入った作品のようで、こちらにはケイト・テンペストが参加し、他のどのフィーチャリングアーティストより存在感抜群の仕上がりになってます。
全体的にはジャジーヒップホップをベースにかなり縦断的なサウンドをしていますがこのトラックに関してはビートレスで、エクスペリメンタル・コズミック・スピリチュアルジャズみたいな雰囲気にポエトリーリーディングが冴え渡るピリ辛なアンビエント仕様が非常にクール。

今週のLP/EPフルリリース

Greg Mendez – s/t (LP)

いや、素晴らしいですね。先行曲M-4がかなりのヒットで、でもこの曲だけかもな~とタカをくくってた部分あったがこれは失礼、アルバム全編しっかりとしたクオリティでした。
やっぱどうしてもAlex Gっぽいとは思ってしまうけど、もうちょっと中庸というか悪い意味ではなく普通寄り。半バンドサウンドとはいえ音楽性はローファイ気味のまるっきり純然たるオルタナフォークでしかないので、この手の歌モノ聴けない人にはほんと退屈だと思うけど、あっさりしてるような深みのあるような不思議な歌声と節回しですね。キャリアそこそこ長いのに妙にフレッシュさも出ていて、満を持してのセルフタイトルってことは本人的にも手応えがあるんじゃないでしょうか。ランニングタイム短いのも良いです。


Westerman – An Inbuilt Fault (LP)

今回ビッグ・シーフの人が共同プロデュースとドラム・パーカッションで全面参加というので質感の部分で前作とは随分違う。完全にプラスに作用してて、先行曲M-2の時もレビューした通りアーシーな雰囲気が付加され一気にオーガニックで豊潤になり元からの本人の魅力も倍増させちゃってます。
割と静謐で神秘的なムードの浮世離れ系SSWサウンドは、敢えて表現するならフォーキーなソフトロック・ポストロックって感じかな。歌唱メインで後はかなり空間を聴かせる作りというか、楽器の印象的なフレーズとかは皆無で、流れそのもので語っていくスタイルです。主役のボーカルもメロディって意味ではフックが強くないので全体的にメロディアスさは希薄。
これも相当、人によっては退屈に感じる部類の音楽だし、ちょっとどの曲も印象が同じ過ぎて金太郎飴になってるきらいはあるが、そこは仕方ない。もう少しだけバリエーション出したいトコだけど、音数少なめでかつ、この歌を主軸に据えるっていう前提だと限界あるだろうからね。最後の曲だけいらないかな〜。


Angel Abaya – The Bubble Angel (LP)

先行のM-9が好みで期待してた。いわゆるSSWバンドではあるが、かなり変幻自在なサウンドで非常にオーセンティックな部分があり、必ずしもインディの文脈ではないかもしれない。
Fleetwood MacとAngel Olsen混ぜたようなものをベースに、キツめのガレージパンクから甘めのギターポップ寄りだったり、穏やかに美しいナチュラル系の音像まで全部とても自然で、どれも1曲聴いて普通にそういうのばっかりやってる人だと思える仕上がり。なんか見た目も風情もこの手のザ・SSWって感じでいながら1枚のアルバムでここまでインディロック要素をひと通り総なめしてるような作品って意外と無いから面白いなと。キャラも立ってるので今にステップアップしてもおかしくないと思います。でもやっぱSun Juneあたりと奇跡的に共鳴したM-9が好き。