GVVC Weekly – Week 240

Hurry – Beggin’ For You

フィラデルフィアのハリーが引き続きlame-oからの新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオで公開です。
前作ではタイトル曲でスピッツやったりと邦楽に聴こえるフレーズを頻出することでおなじみの彼らですが今回はまさかの大江千里です。いや「夏休みは~」のとこだけっちゃだけっすけどね。でも、ハモリの方と全く同じですから。まあ、偶然なんですが。
さて、サウンドの方は普段通りTeenage Fanclub味のある甘く太めなグッドメロディー・パワーポップで、ボーカルに特徴の無くなった初期Yuckみたいな太陽の下のおでかけを感じさせる夏のサウンドトラックになってます。いい曲だね。



WOODS – BETWEEN THE PAST / WHITE WINTER MELODY

ウッズが安定の新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲として、A面B面シングルのような形で2曲を同時に公開です。
もう何枚目になるんだろう、単独作のプロパーなフルアルバムだと9か10枚目くらいだと思うんだけど、彼らは全然出さなくなる時期ってのが無くてほんと1~2年で次のが完成するから実にコンスタント、真の意味で生活の中にサイクルが組み込まれてるんだろうなと感心する。課外活動も沢山やってるのに、健康的な側面でも何か大きい事があるとこうはいかないだろうからここまで長期間の安定って普通に凄いよな。
A面扱いの曲は基本いつも通りのWoodsist印サイケ・フォークポップですが少しコーラスのメロディが際立ってる上、アンサンブルも熱のこもったバンド感あるサウンドでかなりラジオ向きの内容。B面扱いの曲の方はインストでブラシのシャッフルビートにペダルスティールが導入された淡く柔らかいレイドバック・サイケデリアでとても美しいです。


Faye Webster – But Not Kiss

フェイ・ウェブスターがツアーのキックオフに合わせた単発のニューシングルをビデオで公開です。
ロマンとダウナー・ディプレッションが混淆したダイナミックなオルタナポップになってまして、音数少なのやや殺伐としたトラック。これも本人の声、ボーカル、ルックスが甘すぎるのでうまく中和されバランスが取れる彼女十八番のトリックになります。
なんか実に「小品」って感じの楽曲で、ほんの一瞬で作曲したのが明らかにわかるような作りなんですが、そこそこ間を開けてのリリースをする時、パッと聴いた感じの印象を毎回ちょっと変えてきて初見でオッと思わせるのがこの人ほんと上手いね。フォトグラファーなのもあってか、並々ならぬセルフプロデュース力を感じる。


Just Friends – Life I’m Living In

カリフォルニアのジャスト・フレンズが9月にリリースする新作アルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
前作までの印象だと完全にバンドサウンドながらファンキーな人力ヒップホップのオルタナポップというなかなか面白い音楽性だったのですが、今回またさらに進化していて、パーティ感のあるオルタナロックにポップパンク~エモコアのフィーリングが入った2000年前後の流行サウンド・リバイバルとすら呼べるような仕上がり。
コーラスがとんでもなくキャッチーで求心力あります。全部こうじゃないはずだから、これアルバム全体ではどうなってるのかめちゃ気になりますね。It’s just the life I’m living in…


Lewis OfMan – Highway (feat. Empress Of)

フレンチ・エレクトロポップのプロデューサー、ルイス・オフマンがエンプレス・オブをフィーチャーした新曲をリリース。
これは正直、9割がたEmpress Ofの貢献によるピックアップですが、このそこそこ軽薄なサウンドにうまい事ラテンアメリカのシーブリーズ、サウダージがフランスの洒脱さとミックスされ、イケイケなビデオに(車まで出てくる)やり過ぎなギターソロと、どこまでも振り切ったその末に難しく考えないでオーケーオーケーなナイス楽曲に結実。最後のBonjour締めも最高に頭悪くてイイ。しかし、彼女がほんと素晴らしいボーカルだと再認識しました。

今週のLP/EPフルリリース

Blue Lake – Sun Arcs (LP)

聴いて最初アメリカだと思ったが、デンマークということでちょっと意外。いわゆる一人でやってるアンビエントコンポーザー的なものとは一線を画していて、かなりの生楽器を完全に自分だけで演奏し作り上げたアコースティック・インスト作品。
よくシタールと混同注意って言われるあのzither(ツィター)をメインに据えたある種、ナチュラルなギターソロ作品みたいな主軸となる部分をクラリネットやアコギ、チェロに細かい打楽器など多様なエレメントで豊かに装飾。基礎にドローン的な通奏低音が入っているパターンが多いが、全体的に圧の配分や抜き差しがうまく、動的なニュアンスがしっかりあるのにアンビエントBGMから外れていない絶妙にいいとこ取りな音楽に。
作曲演奏ともに一切他者が関わってないからかやはりアンサンブル感はやや希薄で微妙に奥行きが足りない感じもするけど、これだけ構築できれば十分だしかなり凄いと思う。いいもん聴かせてもろたわ。