GVVC Weekly – Week 242

Ada Lea – hometown (edit)

モントリオールのSSW、アダ・リアが2021年のアルバム以来となるプロパー新曲として単発のシングルをリリースしビデオ公開。
LPのアナウンスなどはありませんがSaddle Creekを継続しているようです。方向性はというと前作でブレイクスルー、ブラッシュアップされた良さはそのままにもっと朗らかになってきた印象で、サウンドの形容としては純粋にインディのSSWバンドとしか言えない中庸なものではあるのですが、クリスピーでウェットな質感と各パートの細かい音色やレイヤリングの加減が自分好みのバランスで、そして何よりどこか可憐で瑞々しいボーカルがやはり素晴らしく次回作も楽しみになるような内容。
ホームタウンということで映像の方は地元モントリオールのフッテージに違いないです(行った事ないから知らんけどそうじゃなかったら詐欺)


Forest Swords – Butterfly Effect

リヴァプールのフォレスト・ソーズがネナ・チェリーの未公開ボーカルサンプルを使用したデジタル・ニューシングルを公開。
初期にあった和風ニュアンスのギターフレーズやダブの要素がほとんど減退し切っており若干個性が薄れた気はするが、そのぶん鋭さと完成度は遥かに増しており他を寄せ付けない孤高の存在感。
この人のタッチはやはり独特で、インダストリアルに行き過ぎないロックとトリップホップとUKビートの中間なんで、どれだけ先鋭化してもあまりエレクトリニックやテクノという分類には当てはまらないような、どこかオーガニックな趣があってそこが良いんです。ビートレスのアンビエント楽曲もカップリングで収録。


SPELLLING – Under the Sun

オークランドのスペリングが既発曲群を大胆に再構築した音源で構成される新作アルバムをアナウンスし先行トラックを公開。
ほとんどは直近の2作からの楽曲で、このUnder the Sunに関してはダークウェイヴ・シンセポップのようなアレンジであった原曲から、ソウル・ファンクのニュアンスが強化された賑やかなフルバンド編成のサウンドになっており、最近U.S. Girlsがやっている路線と近似性のあるテイストに落ち着いています。
ツアー用のライブバンドでリアルタイムで編曲を詰めてった実践的な結果をより整理してそのまま録音したって感じの仕上がりで、いい意味で生々しく非常に聴けます。これは全編楽しみですね。


Laurel Halo – Belleville

ローレル・ヘイローが自身のレーベルからの新作アルバムをアナウンスし最初の先行トラックを公開。
今回はなんとピアノアンビエントをベースとした新機軸で、いかにもワンテイクっぽいほんのりジャジーな独奏が、もはやブーミーと言っていいレベルのモッコリローエンドに包まれたかなり意外なミックス。
中腹で一度だけ突然挿入されるコーラスのスキャットというかなんというかの切り込みとその解像度が鮮烈で本当に効果的に機能しており流石って感じです。でもちょっとこれだけじゃやっぱ小品に過ぎないので、早く全容がみたい。


Cherry Glazerr – Soft Like a Flower

チェリー・グレイザーが前作から3年半ぶりとなる4thアルバムをアナウンスし最初の先行曲をビデオ公開。
個人的に音楽は正直あまり評価してなくて、ウチで紹介したことはなかったと思うがこの曲は今までで一番いいんじゃないかな。結構音楽性がブレる印象だけど今回、コンパクトに締まったダウナー系のオルタナロック楽曲になってて、わかりやすくバーストするメリハリ展開だけどいい意味で軽さが残っていてかつカラっとライトな質感。
ベースとシンセの演奏やドラムのプログラミングにまで参加してるプロデューサーとの噛み合わせがいいのか、一聴しての音像がこれまでと全然違う気がして、タイトかつはるかに芯を持ったサウンドに聴こえる。ボーカルがあっさり目なのもプラスに作用。

今週のLP/EPフルリリース

Alaska Reid – Disenchanter (LP)

うーん惜しい、先行のM-6とM-1がスゴク良くて、手放しで褒める準備をしてたがまたしてもそこまでは行かず煮え切らない仕上がり。ソングライティングは明らかにより成熟してきてるし、歌詞というか語り口は素晴らしく詩人で、オルタナの強いアメリカーナの燻んだ雰囲気も芳しい。
何がいけないんだろうなと思うが、単純にプロダクションというかギターや上モノはまぁいいんだけどドラムとかベース、ボトムの作りかな。なんでこうこんなに動きのない、リズムマシン風に仕上げるんだろ。ここもっと生々しく躍動感のある生ドラム一辺倒にするだけで相当改善すると思うんだけど好みの問題かね。これならやっぱまだ、なんだかんだAlyeskaバンドの時のサウンドの方がキャラクター活かせてると思うし、もういっそA.G. Cookと離れてみたほうがいいね。むしろJorge Elbrechtとか行ってみてほしい。想像するだけでめちゃ良さそうだし、ヴァイナルをTerribleから出してたと思うから人脈的にも遠くないでしょ。

あとがき
先週、ひさびさに退っ引きならない理由でいっさい更新できなかったので年末年始以外で数年振りにWeeklyに穴を開けてしまいました。
一通りチェックはしたのですが、先週公開の楽曲は今週ぶんからは除外してますので、いいのがあったら年末のリストにだけ乗ってくるかもね。