GVVC Weekly – Week 180

Warpaint – ‘STEVIE’ Official Video (Fixed Focus Version)

5月にリリースされるウォーペイントの新作アルバムから二つ目の先行曲が公開されました。
これは新機軸じゃないのかな?日頃から、やれオルタナR&Bだの言ってるがそのほとんどは
バンドですらない、R&B側のシンガーの歌唱やトラックの路線がインディ寄りに調整された
という代物を指しているケースが多い…しかしこの楽曲は真の意味でオルタナR&Bと言える。
どうしても付き纏っていたポストパンクの香りが消失し実に甘くスムーズ。タイトルをして
ステレオガムがスティーヴィ・ニックスのことじゃないのかと考察するのも頷ける、ある種
フリートウッド・マック的なタッチまで感じる音像で、かなり唯一無二の音楽になってます。
夜の遊園地を万華鏡にしたような映像の方もビジュアライザーとしてマッチしておりナイス。


Kate Bollinger – Lady in the Darkest Hour (Visuals)

今月後半にリリースされる予定のケイト・ボリンジャーの新作EPより三つ目となる先行曲。
少し前の曲からサウンドが明瞭になって、熱病で狂ったような独特の朦朧とした感じとか
ネジ外れたようなデチューンのそこはかとないサイケ味が薄れてきて、端正になったなあと
思ってたところ、今回は更に輪をかけて違うよなってリリース読んだらMatthew E White。
スペースボムで録音、おまけにナタリー・プラスとかと同じアレンジャーとのセッションで
なるほどそんな感じの音になってるよね。トータル作中のスパイスとしては仕事してるけど
完全にこの方向に舵切られると正直、彼女の良さを若干スポイルしている気がする。もっと
ヘロヘロでいて欲しいかな。前から言ってるけどバックバンドが本当に素晴らしくて、これ
実質バンドな感じがします。ドラムとギターが抜け感ありつつも気が利いていて上手いんよ。


iamamiwhoami – don’t wait for me

アイアムアムアイフーアムアイが約8年ぶりとなるフルレングス作をアナウンスし、先行曲は
オープニングトラックをビデオ公開。みなさんこの人知ってますか?10年ちょい前、覆面
アーティスト的な感じで現れ、The Knifeの人だとかビョークが絡んでるだとかいろいろな
憶測を呼んだ…ウィッチハウス周りもそうでしたが、そういう正体不明がある種の流行りで。
結局、既に高名なアーティストの変名だったりとかではなかったわけなんですが、それだけ
見せ方やプロダクションの質が良かったって事なんでしょうね。サウンドの方は元来あった
北欧の冷たいヴェールと幽玄さがありながら結構ポップな仕上げっていう特徴はそのままに
エレクトロニック感が少なくなったアンビエントフォークで、個人的には好みの路線ですね。


Vansire & MUNYA – “Vivienne”

ミネソタ州ロチェスターのバンド、ヴァンサイアがムニャちゃんとのデュエット楽曲を公開。
ムニャちゃんパートはフラ語、ヴァンサイアのパートは英語という構成で、サウンド的には
アシッドハウスキングズのゆっくり目な曲をネオアコ似非フレンチポップ系統のおしゃれ風
吹かせまくった甘いムード増し増しでモノクロ青春映画に仕上げたようなやつになってます。
非常に含意のある言い方でナンですが、日本のネオアコ好きのおじさんたちが卒倒しそうな
一発で、激甘のスーパーコケティッシュフレンチボーカルここに極まれりな仕事ぶりですね。


Sessa – Gostar do Mundo (Official Video)

ブラジリアンSSW、コンポーザーのセッサがMexican Summerからリリースする新作より
オープニングトラックを公開。マイルドにアトモスフェリックなネオサイケ・ボッサという
軸にアンビエントぎみのストリングスアレンジまで入ってくる非常に洗練されたサウンドで
表層的にはカフェミュージックみたいな人畜無害さながら、その実オルタナティブな要素も
強く孕んでいるという全方位型でして少しパンチが足りないがそこは間口とのトレードオフ。


Marci – “Entertainment” (Official Visualizer)

TOPSにおいてなんだかんだジェーンと同じくらい目立っているキーボード担当のマルタが
マーシとしてソロデビュー、安定のArbutusからでメンバーもフルコミット参加なため当然、
単に初期トップスをシンプルにしたようなまんまのサウンドですが、ボーカルの趣が本家と
かなり違っていますので、その辺でバージョンとしては聴けます。とりあえずご祝儀掲載ね。
彼女もまた禁断の『限られたものだけに許される』タイプの全寄りビデオやっちゃってます。

今週のLP/EPフルリリース

Folly Tree – Remedies (LP)

先行のタイトルトラックM-4が良くてマークしてた。ウォームかつオーガニックな歌ものの
トリップホップ・ソフトロック・ドリームフォークで、ドラムとバイオリン以外は自作自演。
そのドラマーが北欧の人力クラブジャズみたいなプレイングするんで、ボーカルも比較的に
シックな事もあり基本はオトナな音楽。でもアーバン過ぎず、むしろどこかアーシーであり
意図的に曖昧さを保つインディ勢っぽさも持ち合わせてるので辛すぎず中間地点の仕上がり。
肌触りとしては、寒い地域の空気感とおもちゃ箱がなくなったハンナ・ヒュッケルバーグか?
メロディは塩味だしタイム感も心地よくスロウでエッジが柔らかいのでBGMにいいですね。


Forests – Get In Losers, We’re Going to Eternal Damnation (LP)

シンガポールでミッドウェストエモ大好きな男の子たちが、社会や経済に対して強い不満と
フラストレーション抱えながら半ばやけっぱちでやってるのが凄く伝わってくるし、ホント
心情としてはよくわかる。最近でいうとDogleg系、直情的ルーザーズ・エモのマスロック
風味メロディックパンク煮込みって感じでCap’n Jazz辺りから初期モックオレンジの流れを
ダサめにしたサウンド。日本でいうバンアパとかも聴いてそう。かなりそれっぽくなってて
即効性のあるハイエナジー暴れ馬感は本場に迫るクオリティだと思う。名前は変えた方が?
前のアルバムタイトルは「日本のコンビニで永遠を過ごす」だし今回もなかなか酷いデスネ。